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石尾さんはあの時「エース」として走って笑っていたのかな。
それとも「アシスト」ととしての?
どっちでもいいのにこの本を読み終えたしばらくたった今も考える。
「静かだと思った。
日本語とフランス語の入り混じった怒声と、近づいてくるヘリコプターの音や、オートバイのエンジン音。耳許でだれかががなり立てているのに、なにもぼくの心には響かない。」
この文章から始まる。
この文章があるからこそドキドキしていたのも事実だけどそれとはちょっと違うドキドキだったような気も。後でこの本がミステリーだったと知って驚いたくらい謎解きよりも人間関係やロードレースの基礎知識の方が濃く感じられました。なんていうか「風が強くふいている」とよく似たドキドキ。
全く興味のなかった箱根駅伝にはまったようにロードレースも見てみたいと。
うん、「風が強くふいている」くらいの字の細かさと厚さでもう少しルールなんかを素人向けに分かりやすく書いてあればもっとよかった。たまたまTVでちょうどジャパンカップを放送していて(しかも南信州!)グリーンジャージとTOCとちょっとまだ理解していないところが分かればもっと楽しいだろうなと思えたし。
勝つ事を義務付けられた「エース」と自分の勝利を犠牲にしてまでエースのために仕事をする「アシスト」そんなロードレース特有の世界に魅力を感じ自分が勝つ事から逃げるためにロードレースに転向したチカが主人公なのだけど、彼と同じくらい印象的なのがチカと対照的な伊庭と彼が属するリームのエース石尾。過去の事故と現在の事故が混ざって誰を信じていいのか分からなくなった時に二転三転する衝撃があって私はただただすごいと本をめくっていた手が止まって不覚にも泣いてしまった。
私には「覚悟」が足りない、と最近とくに思う。なにをするにしてもそれを持っている人は揺るぎがなくて強い。「アシスト」にしても「エース」してもどっちも幸せと覚悟がある。そうおもったら尚更このラストに参ってしまった。きっとここに出てくる人たちより年を重ねているのに、悔しい