青い鳥
重松 清
学校ってなんのためにいくんだろう?
仕事ってなんのためにいくんだろう?
あなたはなんのためにいきますか?
かなりどもりのひどいムラウチ先生。けれどそれを苦にするわけでもなく飄々と国語の臨時教師をしている。なぜなら彼が教えているのはテスト対策の勉強ではないからー
何故ムラウチが美術でも算数でもなく「国語」の臨時教師なのか考えていた。
「国語」はなんのために勉強するんだろう?「国語」は好きだけどずっと疑問だった。漢文や古文は英語のように基礎は必要だけど本を読んだ感想なんて100人いれば100通りの感想が出る。先生と同じ考えなら正解って変だなって。もしかしたら誰かに想いを的確に伝えることを自分を客観的に見る練習をしているのかもしれない。だからこそムラウチは「国語」の先生なのかなと。
自分を轢いた人を「犯人」という友人の言葉に傷つく少女。父の自殺の時に自分の言った言葉に深く傷つく少年。この本には「自分の出した言葉」に苦しむ子供たちが出てくる。自問自答し他人の心に敏感になってどんどん内に篭っていく彼らの殻をほぐすのがムラウチの仕事だった。成長していくとムラウチのような人に出会う。小学や中学時代にそういった人に出会えればいいけれどそうじゃない子はいっぱい。私もそうだった。だからこそムラウチ先生なんだろう。
親はしたくても・・残念だけど親だからこそ難しいような気がする。
わが子にも私にとっての夫や友人のような人が現れることを親の私は願うことしかできない。
「ひとりにならないために嘘をついているんだ」嘘に嘘を重ね続けてたあの頃を思い出すこのひと言が心に強く強く響いた。
本もまたわたしを救ってくれたひとり。
いつもありがとね