八月の路上に捨てる
伊藤 たかみ
「よく考えるんだよ」
守衛さんにそういわれもらった離婚届
桜がそろそろ舞い落ちる4月初めての日曜日のお昼
わたしはひとり市役所にいた
結婚してまだ6ヶ月目のことだった
主人公は明日離婚届を届ける予定のアルバイター
仕事は自動販売機の補充+売り上げとゴミの回収
いつも一緒に回っていた正社員の水城さんは今日で仕事が終わり
彼女にも妻にもいえなかった事を主人公は水城さんには話せた
何故だかわからないけど
確かに愛し合って好き合って結婚したはずなのになぜ離れてしまうんだろう?
あの時の離婚届はまだ押入れにある
くしゃくしゃに丸められて
物語に出てくる夫婦喧嘩はかなりリアル
なので喧嘩の場面はとても面白く読めたんですが
喧嘩した次の日に読んだのがいけなかったのか
だんだん主人公が夫に見えてすごくすっごく憎たらしくなりました(笑)
この本のもう1つの作品
あるスーパーのお客様の声コーナーに張り出されていた一枚の投書
「ふう太郎スナックが売り場から消えてしまいました。もう入荷しないのですか。子供が泣いて困っています」
この投書から主人公は見たこともないその人を想像しふう太郎スナックを想像し何故そこまで必要なのかを想像していきます
夫婦でこの投書について考えてるあたりはほのぼのとして気持ちいい
なんとなく「八月の〜」は「恋」(自分が満足すればいい想い)で、もうひとつは「愛」(相手を想う思い)を描いた作品に思えます
夫婦っておっかしいですよね
この二つをきっと何度も何度も懲りもせず繰り返してる
明日は、というか今夜はどっちの夫婦になるんだろうなぁ