西の魔女が死んだ (新潮文庫)
梨木 香歩
でめおが死んでいた
最期は横向きで沈んで口をパクパクさせて苦しそうだった
でもまだ生きると思っていた
何故だか不死身な気がしていた
寂しくてたまらない
それ以上に彼は寂しかっただろうと独りで最期を迎えて寂しかっただろうと
息子が産まれてから世話がないがしろになってきて毎日の言葉もかけずにいた
寂しかっただろうと
なんで今になってこんな事を思うんだろう
まいもおばあちゃんが死んだときそんな気持ちだったろうか
私にもでめおの声が聞こえたらいいのに
ただただ私は想像するしかない
大空を自由に行き来するのびやかに泳ぐ彼の尾びれを
どうかどうか幸せでいて